企業のコスト削減アイデア12選!成功のためのポイントも解説

企業の利益を拡大させるには、不要な費用を洗い出してコスト削減することが必要です。しかし、やみくもにコスト削減を実施すると、従業員のモチベーション低下を招く可能性があります。今回は、コスト削減のアイデアや成功するためのポイントについて解説します。

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コスト削減とは?3つのメリット

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コストとは、原材料費・広告費・人件費など、利益を生み出すために必要なすべての費用のことです。企業の利益は、売上からコストを引いた金額であり、コスト削減は利益向上に直結します。ほかにも、従業員のモチベーション向上や環境改善の効果などが期待できるといわれています。企業がコスト削減に取り組むメリットについて詳しく確認していきましょう。

利益拡大

コスト削減の大きなメリットのひとつが、利益拡大です。企業の利益を拡大させるための方法には、「売上向上」と「コスト削減」があります。売上を向上させるには、新商品を開発したり広告を出稿したりすることが必要です。売上が伸びれば新商品の開発費用や人件費を回収できますが、事前に費用対効果が得られるのかを予測するのはかなり困難です。

また、多額の広告費をかけても期待した効果が得られない場合もあります。一方、コスト削減は、過剰な備品や在庫を整理するだけで目に見える効果が出ることも多いです。業務フローを見直せば、固定費や変動費のコスト削減も実現できます。コスト削減が実現すれば、営業利益を多く確保できるため、金融機関や株主からの評価向上も期待できるでしょう。

従業員のモチベーション向上

コストを削減するには、業務の見直しも必要です。業務を見直せば不要な作業を可視化でき、業務効率化や生産性向上が期待できます。また、残業時間短縮やテレワークを導入して働き方を見直すことも重要です。近頃は、プライベートを尊重した働き方を望む従業員も少なくありません。働く環境が変われば、従業員のモチベーション向上につながります。

さらに、ほとんどの企業は人材不足の課題を抱え、従業員一人ひとりの業務負担が大きくなりがちです。業務量が多すぎると、業務効率が悪くなるだけでなく、生産性や商品品質の低下を招くおそれがあります。従業員は心にゆとりを持てず、睡眠不足や食欲低下など心身に不調が現れることもあります。条件の良い企業を求めて転職してしまうおそれもあるため、単純作業は業務委託して従業員の業務負担を減らすことが大切です。

環境対策

コスト削減の一環として省エネに取り組めば、環境対策につながります。2015年9月、国際連合はすべての国を対象に、持続可能な社会を目指す世界共通の目標を採択しました。気候変動やエネルギーなど幅広い分野の課題において、17項目のゴールが設定されています。これが、「SDGs(持続可能な開発目標)」と呼ばれるものです。

SDGsは徐々に社会に浸透し始めているため、コスト削減で省エネ対策を実施すれば企業のイメージ向上が期待できます。エネルギーコストに含まれるのは、水道代や電気代、ガス代等のインフラにかかる費用です。光熱費は、エネルギーの使用量に応じて料金が増えるため、省エネ対策に取り組めば経費削減にもつながります。

参考:外務省「SDGsとは?

企業が削減できるコストの種類

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企業運営で発生するコストには、さまざまな種類があります。その中には無駄なコストが含まれていることがあり、それらを削減することで利益向上が見込めます。

削減可能なコストには、以下のようなものがあります。

オペレーションコスト オフィスコスト エネルギーコスト
それぞれ詳しく解説します。

オペレーションコスト

オペレーションコストとは、人件費・福利厚生費・会議費・交際費・システム利用料など、事業を営む上で発生する費用のことです。給与・賞与・社会保険料などの人件費は大きな割合を占めており、「コスト削減に取り組むと高い効果を得られる」といわれています。人件費削減にはさまざまな方法がありますが、とくに高い効果を得られるのは人員削減でしょう。

具体的な方法には、退職勧奨や希望退職者の募集などが挙げられます。ただし、従業員の解雇は法律による厳しい規制が設けられており、簡単に実施することはできません。また、強引に人員削減を推し進めると、経営陣に対する信頼が損なわれ、従業員は企業で働く意味を見出せなくなります。結果的に、従業員のモチベーション低下につながるかもしれません。

人員削減の次に効果があるのは、賃金削減です。賃金削減においても法的な制限があり、企業が自由に実施できるわけではありません。業績不振や職務怠慢など合理的な理由をもって、従業員本人、または労働組合と交渉する必要があります。人件費削減と同じく、強引に進めると従業員のモチベーション低下につながるため、慎重に取り組むことが必要です。

オフィスコスト

オフィスコストは、賃料・清掃費・備品費・通品費など会社を運営する上で発生する費用です。近年はリモートワークを導入する企業が増えていますが、業務用端末として従業員に貸与するタブレットやパソコン等もオフィスコストに含まれます。これらのオフィスコストは、比較的削減しやすく、コスト削減の効果を実感しやすいといわれています。オフィスコストで大きな割合を占めるのは、入居物件や工場等の賃料です。賃料は値下げ交渉が可能であるため、近隣の賃貸相場より高い場合はオーナーに相談するのもひとつの方法です。さらに、備品は「当然にあるもの」「紛失しても問題ない」と考える従業員もいます。消耗品を配布する際は数量を台帳で管理するなど、経費削減への意識を高めることが大切です。

エネルギーコスト

エネルギーコストは、光熱費やガソリン代などインフラにかかる費用です。事業経営において継続的に発生する経費であるため、継続的にコスト削減に取り組む必要があります。近年は、世界的なエネルギー価格の高騰により、エネルギーコストが上昇している企業が多いです。経営を圧迫する可能性もあり、エネルギーコストの削減は重要な課題といえます。

エネルギーコストは、うまく削減すれば大きな効果が期待できます。たとえば、営業で社用車を多く使用する企業は、毎月のガソリン代が大きな負担になりがちるです。ガソリン代を抑えるために、燃費の良いハイブリッド車を購入したり無駄走りをしないように営業ルートを見直したりすると、エネルギーコストの削減につながります。

削減の具体的な方法を知りたい方は、以下を参考にしてください。
関連コラム:「経費削減って何を削減すればいいの?

オペレーションコストの削減アイデア4選

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オペレーションコストで大きな割合を占めるのは、人件費です。人件費を抑えるには退職勧奨や希望退職者の募集などの実施がありますが、強引に進めると従業員のモチベーション低下を招くおそれがあります。従業員のモチベーションに影響が出ないように、慎重に進めることが大切です。
オペレーションコスト削減のアイデアには、以下のようなものがあります。

採用コストの見直し 労働環境の見直しと改善 オンライン会議の導入 アウトソーシングの活用
それぞれの概要を確認していきましょう。

採用コストの見直し

採用コストとは、新たな人材を採用する上で必ず発生する費用のことです。企業説明会や求人・転職サイトの利用、求人媒体への広告出稿等が含まれます。厚生労働省が発表した調査結果によると、採用コストの平均相場は、正社員で85.1万円、非正規社員で19.2万円に上ることがわかりました。採用コストは多額の費用が発生するため、多くの企業に共通する課題だといえます。

採用コストを削減するには、採用方法を見直すことが重要です。近年は採用チャネルの多様化が進んでおり、リファラル採用やダイレクトリクルーティングなどさまざまな採用手法があります。

リファラル採用とは、自社の従業員や社外の取引先など、社内外で信頼できる人から、自社にマッチする人材を紹介してもらう採用手法です。あらかじめ社風や事業内容などを伝えられるため、マッチング精度の向上が期待できます。また採用プロセスが簡略化されるため、人事部門担当者の業務負担を軽減することが可能です。

ダイレクトリクルーティングは、企業が自ら人材を探して直接求職者にアプローチする採用手法です。求人媒体や人材紹介会社を介さないため、人材データベースの利用料や成功報酬費がかかりません。とくに成功報酬費の相場は年収の35~40%といわれているため、求人媒体や人材紹介会社を利用するより採用コストを格段に抑えることが可能です。

参考:厚生労働省「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書

労働環境の見直しと改善

オペレーションコストの多くの割合を占める人件費は、労働環境の見直しと改善でコスト削減できます。人件費の削減対策として、退職勧奨や希望退職者の募集などの人員削減があります。しかし、人件費を削るために安易に人員を削減するのはあまり得策ではありません。経営陣への信頼が失われ、従業員のモチベーション低下につながるおそれがあるためです。

人員削減の前に取り組みたいのが、労働環境の見直しと改善でしょう。たとえば、組織体制や業務フローを見直したりシステムを導入して作業を自動化したりする方法があります。属人化しやすい業務は、マニュアルを活用して業務を効率化するのも効果的です。労働環境を改善すると、時間外労働に支払う手当が減少して人件費の削減が期待できます。

オンライン会議の導入

オペレーションコストの削減には、オンライン会議の導入も有効です。これまで対面形式で実施してきた会議をオンラインに切り替えれば、出張費や交通費、交際費の削減が可能です。ただし、ITが苦手な従業員はオンライン会議の導入に消極的になる傾向があります。操作マニュアルを作成するなど、気軽に活用できる環境を整えることが大切です。

また、近年は従業員の多様なライフスタイルに対応できるよう、リモートワークを導入する企業が増えました。毎日会社に通勤する必要がないリモートワークは、通勤交通費の削減に効果があります。ただし、就業規則の通勤手当がテレワークに未対応の場合、通勤していないのに交通費の支払いが生じることがあるため、導入時は就業規則の見直しも必要です。

アウトソーシングの活用

人件費の削減には、アウトソーシングの活用もあります。アウトソーシングとは、社内の業務を社外に委託することです。社外に業務を委託することで、業務効率化や従業員をよりコア業務に注力できる環境を整えられます。社内で専門人材を抱える必要のない業務は、積極的に外部委託を検討しましょう。新たに人材を雇用する必要がなくなり、人件費を削減できます。

アウトソーシングには、情報漏洩の危険性があることを忘れてはいけません。委託する業務によっては、顧客情報や従業員情報といった機密性の高い情報を外部企業と共有する必要があり、委託企業のセキュリティレベルが低い可能性もあります。

情報漏洩のリスクを回避するためには、実績と信頼感のある委託企業を選定することが重要です。業務を委託して問題ないかを判断する際には、情報セキュリティに関する認証取得の有無が目安になります。たとえば、プライバシーマークや情報セキュリティマネジメントシステムの認証を受ける企業は、機密性の高い情報を適切に管理できていると判断できます。

オフィスコストの削減アイデア3選

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オフィスコストは、賃料や清掃費、備品費、通品費など業務に欠かせない費用が多く発生します。各費用を見直してみると無駄が見つかることが多いため、それらを改善すれば長期的な削減につながります。さまざまなアプローチがあるため、ひとつずつ実践してみましょう。
コスト削減のアイデアには、以下のようなものがあります。

消耗品の節約 通信料の見直し リース料金や手数料の見直し
それぞれの概要を確認していきましょう。

消耗品の節約

1つあたりの金額は高くないものの、消耗品は年間購入費用になると高額です。ボールペンやコピー用紙などの事務用品は、低価格のものに少しずつ置き換えましょう。低価格のものを一括購入すれば、コスト削減につながります。電球は、節約効果のあるLED電球に切り替えるのがおすすめです。LED電球は環境にもやさしいため、エネルギーコストの削減にもつながります。

また、購入した備品を節約して使用することも大切です。たとえば、コピー用紙は白黒印刷や両面印刷を多用したり、使い終わったペンは乾燥を防ぐためにキャップをきちんと閉めたりするなどの方法があります。予算に余裕がある場合は、システム導入によるペーパーレス化を検討するのもひとつの方法です。書類や資料を電子化するだけでコピーの回数は大幅に減ります。。

また、コピー用紙やインク代、コピー機のレンタルや文書保管スペースにかかる費用を抑えられる上に、取引先や顧客に送付する請求書を電子化すれば郵送費を削減できます。ペーパーレス化は業務効率の改善にもつながるため、労働環境の見直しにも有効です。

通信料の見直し

オフィスコストを削減するには、電話料金やインターネット料金など通信料の見直しが必要です。たとえば、電話の通信プランは知らない間に新しいプランが登場していることがあります。法人向けプランも複数あり、事業規模や契約台数に応じて割引を提供する通信会社も多いです。電話の通信プランは、オプション契約も含めて定期的に見直しましょう。

通信料が高い場合は、不要なオプション契約を解約したり利用料金が安い通信会社へ乗り換えたりする方法があります。従業員にスマホやパソコンを支給している場合は、個人が所有する端末を業務に利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」に切り替えるのも有効です。自社で端末を購入して貸し出すより、費用を抑えられるためコスト削減につながります。

リース料金や手数料の見直し

毎月発生するリース料金や金融機関等の各種手数料も、オフィスコストの負担になる費用です。とくに金融機関等の各種手数料は、1回あたりの金額はそこまで大きくありませんが、年間で計算すると驚くほど高額になることがあります。金融機関に各種手数料の減額を相談するほか、より手数料が安い金融機関への変更を検討してみるのが有効です。

ただし、「融資先で変更しづらい」「特定金融機関に統一している」といった理由で金融機関の変更が難しいことがあります。このような場合は、振込手数料が安くなる方法はないかを金融機関に相談するのが良いでしょう。また、取引先や顧客に支振り込む際の手数料は、受け取る側に負担できるか相談する方法もあります。

インターネットバンキングなら、振込手数料を無料とする金融機関も多いためコスト削減が可能です。コピー機やOA機器等をリースしている場合は、より安い会社がないかを比較検討してみましょう。とくに古い機器は新しい機器に比べると、電力消費を抑えられる傾向があります。ランニングコストを削減できるため、年間で大幅なコスト削減が可能です。

エネルギーコストの削減アイデア5選

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ほかのコストに比べて取り組みやすいのが、エネルギーコストです。エネルギーコストは値段が急減に変動しないため、経費削減に成功すれば、毎月の支払い料金を安定的に減らせます。さまざまなアプローチがあるため、できるものから実践しましょう。
コスト削減のアイデアには、以下のようなものがあります。

リモートワークの導入 電子機器や家電の使用方法の見直し LED照明の導入 再生可能エネルギーの活用 電力会社の切り替え
それぞれの概要を確認していきましょう。

リモートワークの導入

水道光熱費は、職場にいる人数が多いほど金額が高くなります。リモートワークを導入すれば出勤する従業員数が減るため、水道光熱費が削減可能です。総務省の調査結果によると、リモートワークの導入により「オフィスの電力消費量は43%削減可能」と試算されています。直接的なコスト削減につながるため、リモートワークの導入を検討しましょう。

また、出勤する従業員数を抑えられる場合は、現在より規模が小さいオフィスへの移転を検討するのもおすすめです。職場の規模が小さくなれば賃料を抑えられるため、オフィスコストも抑えられます。さらに、リモートワークを導入すれば、ワークライフバランスが改善されたりライフスタイルに合わせて働けたりするため、従業員満足度を向上できます。

従業員の満足度が上がれば離職率が低下するため、人材採用コストの削減が可能です。離職率が低下すると新しい人材を雇用する必要がなくなり、研修や勉強会などの教育費も抑えられるため、オペレーションコストの削減にもつながります。リモートワークの導入は、企業側と従業員側の双方にメリットがあるといえます。

参考:総務省
平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
平成22年度次世代のテレワーク環境に関する調査研究に係る請負

電子機器や家電の使用方法の見直し

エネルギーコストを削減するには、電子機器や家電の使用方法を見直すのが有効です。たとえば、パソコンやモニターの電源を入れたままの状態で帰宅する従業員もいるかもしれません。コストを削減するには、使用していない時間帯の電気は可能な限り節約することが大切です。また、使用していない部屋の電気はこまめに消して節電することも重要です。

さらに、エアコンの設定温度を見直すと節電効果が期待できます。エアコンは、温度設定を1℃変えるだけで電気代が上がるといわれています。エアコンの設定温度を固定すれば、エネルギーコストを削減することが可能です。しかし、夏場は温度を下げたい場合もあるため、快適で働きやすい軽装で働けるクールビズを導入するなど職場環境の改善にも努めましょう。

LED照明の導入

エネルギーコストを削減したいのであれば、LED照明の導入を検討しましょう。LED照明は寿命が長く、理論上は10年以上使い続けられるといわれています。またLED照明は、白熱電球や蛍光灯より少ない電力で同等の明るさを出せます。LED照明は白熱電球や蛍光灯より購入費用がかかりますが、長期的な視野で考えると一定の削減効果が得られるためお得です。

ただし、LED照明の光は直進性が強いです。照明の真下は明るくても電球が向いていない方向は暗くなることがあります。光の広がる角度が大きい電球もあるため、設置場所の広さや用途に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。

再生可能エネルギーの活用

再生可能エネルギーを活用し、エネルギーコストを削減する方法もあります。再生可能エネルギーとは、太陽光や風力など自然界に存在するエネルギーのことです。資源が枯渇せず繰り返し利用できる上に、発電時に地球温暖化の原因となるCO2を排出しないため環境にもやさしいとされます。環境対策にもつながり、企業のイメージ向上も期待できるでしょう。

太陽光発電など自家発電設備を導入し、環境に配慮した再生可能エネルギーを活用する方法があります。エネルギーコストの削減につながるだけでなく、災害時の電力としても使用可能です。蓄電池を併設した太陽光や風力電力は蓄電池を調整できるため、比較的早い電力供給の復旧が可能で、災害による大規模停電にも備えられます。

電力会社の切り替え

2016年より、電力小売の自由化が開始され、誰でも電力会社や料金プランが選択可能です。電力自由化が解禁されるまでは、地方電力から電気を購入するのが一般的でした。独占状態が続いていたため、電力業界の競争を計る目的で、「新電力」と呼ばれる小売電気事業者が参入しました。

新電力は、質は変わらないまま電気代がお得になる料金設定です。使用量に応じて割引が適用される電力会社もあるため、電気代が高額になりがちな法人企業に適しています。電力会社が決まっていない自社ビルの場合は、よりお得な電力会社への切り替えを検討するのが有効です。地域の電力会社を調査し、料金プランを比較検討してみましょう。

コスト削減の方法と流れ

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コスト削減のアイデアを実践して効果を得るには、確かな手順を踏むことが大切です。コスト削減を実践する方法は、以下のような手順になります。

現在のコストを洗い出す 削減目標を設定し共有する 削減プランを実行し効果を検証する
それぞれの手順について詳しく解説します。

現在のコストを洗い出す

コスト削減に取り組む際、やみくもに実施しても期待した効果は得られないことが多いです。注ぐ労力や時間を最小化するためにも、コスト削減の取り組みは計画的に進めることが求められます。計画的に進めるには、現状を知ることが重要です。

企業を運営する上で発生するコストについて、具体的に洗い出してみましょう。日々の業務プロセスや、会社を経営する中で発生する費用などすべての支出を洗い出します。全コストを洗い出して可視化すれば、削減すべきコストが明確化することが可能です。

削減目標を設定し共有する

「どのコストをいつまでに、どのくらい削減するのか」など、具体的な目標を設定しましょう。コスト削減の目的は、無駄な費用を減らして利益を増加させることです。しかし強引に進めると、従業員のモチベーション低下を招く可能性があります。やみくもにコスト削減を実施するのではなく、削減にかかる労力やリスクを踏まえて検討することが大切です。

削減目標を設定したら、社内で共通認識を持つために社内に周知しましょうし。コスト削減は、経理担当者ひとりの力では実現が難しく、従業員の協力が必要不可欠です。ただし、単に「コストを削減してください」と周知しても効果は得られません。「電気代を◯%削減」「冷房設定温度は◯℃に厳守」など具体的な決まりを作り、マニュアル化しておくことが重要です。

削減プランを実行し効果を検証する

コスト削減のプランを実行したら、効果の検証を行いましょう。まずは、コスト削減の目標額と実際削減額を比較します。目標額と実際削減額に乖離がある場合は、期間や削減方法の妥当性を確認して次回に活かすことが大切です。手間や時間はかかりますが、分析と改善を繰り返し行うことで、コスト削減の目標額を達成しやすくなります

コスト削減を成功させるための3つのポイント

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コスト削減は単に実行しただけでは、目標を達成することはできません。コスト削減を成功させるには、以下のポイントに気をつける必要があります。

必要なコストを見極める 企業全体で取り組む 定期的に見直しを図る
それぞれのポイントについて詳しく解説します。。

必要なコストを見極める

コスト削減を実行する際、効果だけに着目すると費用を増大させる結果になりかねません。たとえば、一部の部署だけに負担を強いたり高すぎる削減目標を設定したりすると、従業員のモチベーション低下を招く恐れがあります。従業員に無理をさせた結果、優秀な人材の離職につながり、欠員補充などで逆に余計なコストが生じる可能性もあります。

企業はコスト削減だけに固執せず、従業員が心身ともに健康的に働けるかどうかも含めて削減の対象や方法を検討することが大切です。さらに、無理なコスト削減はサービスや商品の質を低下させることもあります。

コスト削減は、企業利益を向上させるためのものです。顧客の信頼を失わないように、サービスや商品の質を低下させるような削減はやめましょう。

企業全体で取り組む

コスト削減を成功させるには、企業がルールを決めて従業員全員で取り組むことが必要です。目標値を重視しすぎると従業員に負担がかかる場合があり、協力を得られなくなる可能性があります。最悪の場合、従業員のモチベーション低下につながり、優秀な人材が流出してしまう恐れもあるでしょう。

従業員のモチベーションが低下しないように、取り組む予定の削減方法等をきちんと周知し、従業員の理解を得た上で実施することが重要です。また、コスト削減で企業利益が向上した際はボーナスアップを実現するなど、従業員のメリットになる目的を掲げるとモチベーションアップにつながります。

定期的に見直しを図る

コスト削減は、一度取り組んだら終わりなけではありません。効果を持続させるには、継続的に取り組む必要があります。削減による効果が得られているのか、従業員が負担を感じていないかなど、定期的に見直しを図ることが大切です。

また、光熱費は社会情勢により大きく変動することがあります。ただし、電気代を抑えるために真夏日にエアコンの使用を制限しすぎると、従業員が体調を崩す可能性があるので危険です。健康面やモチベーション低下に影響するため、電気代の過度な節約には注意しましょう。

まとめ

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企業経営において、賃料や光熱費、備品の購入費等さまざまなコストがかかります。これらの費用を必要経費とみなし、コスト削減に取り組んでいない企業も少なくありません。しかし、売上に占めるコストの割合が大きければ大きいほど利益は減少してしまいます。

コスト削減は、社内の努力や工夫次第で実現可能です。採用コストや通信料を見直したり、労働環境を改善したり、リモートワークを導入したりなど、企業が取り組めることは多くあります。ここで紹介したアイデアを参考に、コスト削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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