出張手当(日当)とは?日当の意味や税金との関係性を解説
出張手当(日当)とは、従業員が出張中に使う食費や通信費などの雑費を補助するために企業が支給する手当です。
本記事では、出張手当(日当)の基本的な意味から具体的な決め方、支給するメリット・デメリットまで詳しく解説します。出張手当(日当)の知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそも「日当」とは?
日当とは、従業員が出張したときに会社から支給する手当のことを指します。一般的に出張手当とも呼ばれています。
この記事では、日当の意味や日当を支給する目的を解説します。
日当の意味
「日当」は、「1日単位で支給される手当」を意味しています。出張や外勤時に発生する食費や通信費などの雑費を補助するために、企業が従業員に対して支給する手当のことです。代表的な日当として挙げられるのは、出張時に発生する「出張手当」や「旅費手当」などです。
一般的に、労働の対価として企業が従業員に支払う「賃金」とは別のものを指します。
日当を支給する目的
出張時に発生する出費を補填すること、従業員のモチベーションを維持することが、日当を支給する主な目的です。
出張へ行くと、普段の生活とは異なるためイレギュラーな出費が出ることも考えられます。会社から日当を支給することで、実際に従業員の負担を補填でき、またモチベーションをある程度維持できるでしょう。
出張時の日当の決め方
出張時の日当の金額や支給方法には、法的な決まりはありません。企業は、出張の目的や内容に応じて独自の基準を設け、適切な金額を決定します。
ここからは、どのように日当を決めていくのか、支給する理由ごとに解説していきます。
外食費用を補填するために支給する場合
まず、外食費用を補填するために日当を支給する場合です。
出張中の食事は宿泊先のプランに含まれることもありますが、提供されない場合や移動中に食事が必要になることもあります。このような場合、外食費用を補填するための日当が必要です。
日当の金額は、出張の長さや宿泊先のプランに応じて決定します。短期間の出張と長期間の出張では必要となる外食費用が異なるため、期間を考慮した設定が必要です。たとえば、ビジネスホテルの素泊まりプランの場合、朝食や夕食は外で取る必要があるため、その費用を日当で補填します。
残業代をカバーするために支給する場合
次に、残業代をカバーするために日当を支給する場合です。
出張中に発生する残業代の支払いは、労働時間の把握が可能かどうかによって異なります。企業が出張先での労働時間を正確に把握できる場合、通常の勤務と同様に残業代が支払われます。
出張先での労働時間の把握が難しい場合は、「事業場外みなし労働時間制」が適用されることもあることを押さえておきましょう。この制度では、あらかじめ設定されたみなし労働時間が適用され、一定の労働時間で計算されます。
日当の金額は、企業の方針や出張の内容に応じて決定されます。出張中の労働環境や業務内容に応じて、調整されることも多いです。
拘束時間の代償として支給する場合
最後に、拘束時間の代償として日当を支給する場合の決め方です。
出張に伴う移動時間を拘束時間として捉え、その分を日当で補填するケースもあります。通常の勤務時間とは異なり、移動時間は直接的な労働時間として扱われないことが多いです。出張では移動時間中も長時間拘束されるため、企業にはこの拘束時間の補填が求められます。
移動時間に対する手当の考え方は企業ごとに異なるため、確認が必要です。多くの企業では移動時間を日当や手当として補填しますが、なかには移動時間を労働時間として計算し、時間外手当を支給する企業もあります。
出張手当(日当)の勘定科目
出張手当(日当)の勘定科目は、「旅費交通費」です。旅費交通費は、出張に伴う交通費(公共交通機関の費用やタクシー代など)や宿泊費、その他の出張の関わる経費を処理するために使用されます。
出張時には、取引先と会食をする機会もあるでしょう。この場合の勘定科目は、旅費交通費ではなく「会議費」または「交際費」として計上します。
出張手当(日当)のメリットとデメリット
出張手当は節税対策になる一方で、コストが増加する一面を持ちます。そのため、出張手当を決める際には、メリットとデメリットを比較検討しなければなりません。ここでは、出張手当(日当)のメリットとデメリットを解説します。
出張手当(日当)のメリット
出張手当(日当)を支給するメリットにまず挙げられるのは、節税対策です。出張旅費規程に基づいて定められた出張手当は非課税対象となるため、企業にとって節税が期待できます。企業はコストを抑えつつ、従業員に対して適切な補助を支給できるでしょう。
出張手当は、従業員にとっても大きなメリットと考えられます。出張手当は非課税です。出張にかかる諸経費をカバーするために支給される金額から税金が引かれないため、従業員の手取り額が増加します。経済的な負担が軽減されるため、出張中の生活がより安定するでしょう。
出張手当(日当)のデメリット
出張手当(日当)には、デメリットもあることを忘れてはいけません。まず、企業が出張手当を支給することで、直接的な支出が増加します。とくに出張が多くある企業にとっては大きな負担となるだけでなく、コスト管理の難しさも生じるかもしれません。また、出張手当の支給には、細かな社内手続きが伴うため、経理部門の作業量が増えるデメリットが出てきます。出張ごとに適切な金額の計算や支給手続きを行う必要があり、業務の煩雑化を招くことがあるでしょう。
さらに、出張手当の制度を導入する前には、出張旅費規程の整備が必要です。規程の策定には時間と労力がかかり、企業内での調整が求められます。規程の整備は導入前のコストやリソースの投入を伴うため、企業にとっては大きな負担です。
このように、いくつか考えられるデメリットを考慮しながら、出張手当の支給を適切に管理しましょう。従業員の負担を軽減しつつ、公正な出張手当制度運用を目指すことが求められます。
出張手当(日当)の相場
出張手当(日当)の相場は、出張の種類や目的地によって異なります。国内出張の場合、出張手当の相場は2,000円台が一般的です。宿泊費は、都市やホテルのランクによって異なりますが、ビジネスホテルなどで5,000円から1万円程度が相場とされています。都市部では、宿泊費の相場が高くなる傾向もありますが、出張手当自体は比較的一定です。
海外出張の場合、出張手当の相場は平均で5,000円程度とされます。国や都市によって生活費が異なるため、具体的な金額は企業の規程によるものの、一般的にはこの範囲内で設定されることが多いでしょう。
節税できる?日当と課税の関係性
日当の支給によって、節税を図りたいと考える方がいるかもしれません。基本的には、日当に税金はかからず、非課税での取り扱いがされます。ただし、場合によっては課税対象となるため注意が必要です。
ここでは、日当と税金の考え方を説明します。
日当は基本的に課税対象外
日当は基本的に非課税であり、所得税の課税対象外です。企業は源泉徴収を行う必要がなく、旅費交通費として経費に計上できるため、法人税の節税にもなり得ます。また、日当は非課税であるため、受け取った従業員の所得額には加算されず、所得税や住民税の負担が増えることもありません。従業員の満足度と業務効率の向上が期待できます。
高すぎる日当は課税対象になる
日当が高すぎる場合、何かしらの不正を働いていると税務署に判断され、課税対象となる場合があります。たとえば、出張手当が実際に必要な経費を大幅に上回る場合、税務署は過剰分を給与としてみなすでしょう。この場合、過剰分は所得税や住民税が従業員に課されます。企業には、日当の金額設定を慎重に行い、適正範囲内での支給が必要です。
日当を設定する際には、一般的な相場や業務内容、出張先の物価水準などを考慮しなければなりません。企業内の規程を整備し、日当の支給基準を明確にすることで、課税リスクを軽減できます。
まとめ
出張手当(日当)は、出張中の必要諸経費を補填するための手当です。出張手当(日当)の設定や支給方法に法的な決まりはありませんが、企業は従業員の経済的負担を軽減し、業務効率を高めるために適切な金額を設定する必要があります。
日当のメリットや適正な金額設定の重要性を理解し、従業員と企業の双方にとって有益な制度とするよう意識しましょう。