報奨旅行(インセンティブ旅行)とは?メリットや事例を紹介

報奨旅行は、優秀な成績を収めた従業員を表彰し、その努力を労うための旅行です。業績向上をはじめ、さまざまな効果が期待されます。一方で交通費や宿泊費等の旅費は全額会社負担になるため、報奨旅行を導入するべきか迷う企業も少なくありません。今回は、報奨旅行のメリットやデメリット、成功事例を解説します。

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報奨旅行(インセンティブ旅行)とは?

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報奨旅行は、販売目標の達成や企業への貢献度に応じて選ばれた従業員を特別な旅行に招待し、企業業績の向上や従業員のモチベーション向上を図るためのものです。旅行先で非日常の体験やリラックスした環境下で過ごすことにより、労働意欲や満足度を向上させる効果が期待できます。ここでは、報奨旅行の種類や目的、福利厚生や源泉徴収など税務上の扱いについて、解説します。

報奨旅行の種類

報奨旅行には、以下のような種類があります。
報奨旅行 研修旅行 招待旅行
報奨旅行は、企業業績や従業員のモチベーション向上を目的に、成績優秀者を表彰し、労う制度です。成績優秀者の選定方法は企業で異なりますが、安全意識向上や業務効率化など、さまざまな項目でインセンティブを付ける事例が増えています。

研修旅行は、優秀な従業員に学ぶ機会を与える制度です。新たなビジネススキルの獲得や資格取得のサポートに加え、海外研修の実施等を行う企業もあります。招待旅行は、ビジネス関係を強化や感謝の意を込めて、顧客や販売代理店を旅行に招待する制度です。

報奨旅行を行う目的

報奨旅行を実施する主な目的は、以下の通りです。
モチベーションを高める 従業員エンゲージメントの向上 コミュニケーションの活性化
報奨旅行は、参加者の業績を称える機会です。招待された従業員は、自分の成果を誇りに思えるため、仕事へのモチベーションが向上します。全従業員が参加できる社員旅行とは異なり、選ばれた従業員だけ招待される特別感も競争意識を高める要因になることが多いです。

報奨旅行は、エンゲージメントの向上にも役立ちます。招待された従業員にとって報奨旅行は特別な経験となるため、自社への愛着心を高められるでしょう。組織への貢献意欲がより一層高まり、コスト削減や業務効率等の課題改善にも自発的に取り組んでくれます。

成績優秀者は業務に追われがちであり、従業員同士でのコミュニケーションの機会が限られることもあります。報奨旅行中であれば、リラックスした環境下で会話することが可能です。成績優秀者同士ならではの情報交換や交流の場としても活躍してくれます。

報奨旅行の税務上の扱い

報奨旅行にかかる交通費や宿泊費・飲食費等の経費は、全額会社負担です。ただし、給与や賞与として扱われる報奨旅行は、社員旅行のように福利厚生費の対象になりません。課税対象になるため、経理上は源泉徴収を行う必要があります。顧客や販売代理店等を招待する報奨旅行の場合は、接待交際費の勘定科目として取り扱うのが一般的です。

ここでは、福利厚生と源泉徴収の違いについて詳しく解説します。

福利厚生費とは

福利厚生費は、厚生年金保険料の整備や交通費の支給、結婚・出産祝い金等、給与や賞与とは別に会社が従業員に支払う費用です。福利厚生費は従業員や役員のために使われるお金であり、労働環境を整備する目的があります。

社員旅行のように、忘年会や社内運動会などの社内行事も福利厚生費として計上することが可能です。一方、報奨旅行は給与や賞与として扱われるため、福利厚生費の対象にはなりません。報奨旅行で支払った費用は課税対象になるため、源泉徴収を行う必要があります。

社員旅行で福利厚生として計上できる条件を知りたい方は、以下の記事を確認してください。

削減の具体的な方法を知りたい方は、以下を参考にしてください。
関連コラム:「社員旅行は経費計上できる?福利厚生費にあたる3つの条件

給与の源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与や報酬等の支払額から一定率の金額をあらかじめ天引きして、企業が納税者本人の代わりに納税する制度です。源泉徴収された所得税は税務署、住民税は市区町村、社会保険料は事業主の負担分を加えて社会保険事務所等に納付します。

成績優秀者を対象とした報奨旅行やレクリエーション行事は、金銭で支給される給与や賞与と同一視されるため、経理担当者は源泉徴収を行う必要があります。一方、福利厚生等の一環として行われる社員旅行は、課税対象になりません。

報奨旅行(インセンティブ旅行)を行う3つのメリット

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報奨旅行には、以下のようなメリットがあります。
従業員のモチベーションアップにつながる 個々の実績を正当に評価できる 企業理念の浸透と人材育成につながる
従業員が得られるメリットについて解説します。

従業員のモチベーションアップにつながる

報奨旅行は、従業員のモチベーション向上につながるメリットがあります。

株式会社エアトリが実施した報奨旅行に関する調査結果では、『モチベーションが上がる』と答えた人が全体の7割以上に達していることが分かりました。報奨旅行の行き先は海外が選ばれる傾向にあり、普段できない体験を従業員に提供したいと考える企業が多いようです。旅行先で人気が高いのは、以下の国や地域です。

海外 国内
ハワイ 44.1% 北海道 38.2%
アメリカ 34.4% 沖縄 38.2%
グアム 28.0% 東京都 27.3%
韓国 25.8% 神奈川県 25.5%
台湾 22.6% 京都府 23.6%

参考 「株式会社エアトリ「7割以上が「インセンティブ旅行」でモチベーションが“上がる”と回答定番の旅行先は人気ビーチリゾート地「ハワイ」」

個々の実績を正当に評価できる

企業への貢献は、必ずしも数字に見える成果だけではありません。「顧客から感謝された」「信頼関係を構築できた」など、将来的に成果となり得る事案もあります。また、「積極的に周囲をサポートする」「書類整理やデータ入力など定型業務を進んで行う」など、業務上の直接的な成果ではなく、間接的な成果につながる貢献もあるかもしれません。

間接的な成果につながる貢献は、直接的な評価につながりにくい側面はあります。しかし、働きやすい職場環境を築く上で重要な要素です。報奨旅行に招待する人材選定は、販売目標の達成だけでなく、職場での貢献度も正当に評価してもらえます。数字には見えない日々の頑張りを正当に判断してもらえれば、従業員の承認欲求を満たすことにもつながるでしょう。

企業理念の浸透と人材育成につながる

報奨旅行は、企業理念の浸透と人材育成につながるメリットがあります。積極的に理念浸透に取り組んでいるものの、「社内周知が進まない」といった課題を抱える企業は多いです。理念浸透が進まない理由として、企業理念の内容が抽象的で分かりづらいことが考えられます。

評価を得た人材が招待される報奨旅行は、企業が求める人物像や行動の評価軸が明確になるため、企業理念の浸透につながりやすいといわれています。報奨旅行をうまく導入できれば、「成果を上げたい」「ほかの人より成長したい」といった健全な競争意識を社内に根付かせることも可能です。従業員同士が切磋琢磨し合うことは、組織全体の成長にもつながります。

報奨旅行(インセンティブ旅行)を行う3つのデメリット

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報奨旅行には、以下のようなデメリットがあります。
従業員が不満を感じる可能性がある 企業側のコスト負担が大きい 従業員間に亀裂が生じる可能性がある
それぞれのデメリットについて解説します。

従業員が不満を感じる可能性がある

報奨旅行は、従業員の能力や成果が評価される制度です。評価基準や対象者の選定方法によっては、従業員に不満が生まれる可能性があります。報奨旅行は、誰が見ても公平な判断基準で選ばれたことがわかるように企画内容を明確に提示することが大切です。一方で、評価軸が明確になると従業員同士の競争を激化させてしまう懸念もあります。

しかし、仕事は精一杯努力しても必ず成果に結びつくとは限りません。頑張って働いても思うような成果が出ないと、仕事のモチベーション低下を招いてしまう恐れがあります。なかには、会社から評価されること自体がプレッシャーになり、ストレス過多で離職してしまう従業員もいるかもしれません。

企業側のコスト負担が大きい

交通費や宿泊費・飲食費など、報奨旅行でかかる旅費は全額会社負担です。企画時点で見積もりを依頼して大まかな費用を確認しておかないと、思わぬ出費につながる恐れがあります。行き先が海外であれば、その分高い費用がかかるため、大幅に予算を超える可能性も考えられます。企業側の費用負担は大きいため、予算内に収められるように準備を進めることが大切です。

従業員間に亀裂が生じる可能性がある

報奨旅行は個人の実績が求められるため、従業員間に亀裂が生じる可能性があります。切磋琢磨できる関係なら問題ありませんが、「相手を蹴落そう」といったネガティブな感情が生まれると、チームワークが阻害される場合も多いです。仕事で成果を出すために、「有益な情報やノウハウを共有しない」といったスタンドプレーに走る従業員も出てくるかもしれません。

メンバー内で足を引っ張り合う状態になり、業績にも悪影響を及ぼす可能性もあります。従業員間での亀裂を避けるには、チームとして評価する制度を設けることも大切です。また、会社には直接的な評価につながりやすい部署と間接的な貢献が得意な部署があります。直接的な評価だけでなく、数値化が難しい職場での貢献度も正当に評価することが重要です。

報奨旅行(インセンティブ旅行)の事例

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金融・保険業者が実施した報奨旅行の事例は、以下のとおりです。

業界 金融・保険業者
規模 700人
開催地 ホノルル

取引先の担当者を招待する表彰式と、ホノルルへの報奨旅行を実施しました。滞在中はリラックスできる環境を提供するために、高級客室への宿泊をはじめ、朝食クーポンや選べるオプショナルツアー、ディナープラン等が用意されています。

また、旅行中はホノルルを存分に味わえるような盛大な表彰式と、趣向を凝らしたパーティーイベントが実施されました。表彰式を実施する報奨旅行の場合、旅行先は日本国内より非日常を味わえる海外のほうが参加者の満足度が高い傾向です。

報奨旅行の手配は、旅行会社に依頼することで、企画から立案、帰国までのフルサポートが受けられます。はじめて報奨旅行を導入する企業でも、円滑な運営が可能です。

まとめ

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報奨旅行は従業員を正当に評価できるため、仕事へのモチベーション向上が期待できます。組織への貢献意欲が一層高まり、コスト削減や業務効率の改善が自発的に行われることも多いです。しかし、評価基準や対象者の選定方法によっては従業員に不満が生まれる恐れがあります。

また、交通費や宿泊費など報奨旅行の旅費は全額会社負担です。「なるべく費用を抑えたい」「円滑に運営したい」といった場合は、報奨旅行の企画から立案、帰国まで支援してくれる旅行会社に相談してみてはいかがでしょうか。

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