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クルーズ旅行体験記
 
 

『海外クルーズにデビュー』ベネチア発アドリア海・エーゲ海クルーズ8日間

船はMSCのアルモニア号

定年退職者の中で海外クルーズが静かなブームを呼んでいるようです。今年3月末に定年退職した私たち夫婦もクルーズにデビューすることにしました。一生に一度の高額な世界一周クルーズではなく、安価なカジュアル船のショートクルーズがいいらしい。ということで、私たちが選んだのは、ショートクルーズの定番中の定番、ベネチア発アドリア海・エーゲ海クルーズ8日間です。船はMSCのアルモニア号。

1 身の丈に合ったクルーズ船が一番

数あるクルーズ船の中からアルモニア号を選んだ理由は単純です。 ・費用の問題。窓の外にテンダーボートがぶら下がっている“訳あり部屋”が比較的安く売り出されていたこと。 ・出発地の問題。なんといってもベネチアから出港する船に憧れを持っていたこと。 ・寄港地の問題。8日間のうち6回、つまり連日寄港するコースだったこと。 また、サントリーニやドブロブニクなどポピュラーな寄港地の他に、モンテネグロのコトルのような地名すら知らなかった場所も含まれていたことも魅力的でした。 以上の理由から、アルモニア号について詳しい知識を持たないまま選択しました。しかし、結果としてとても良いチョイスだったと思っています。  アルモニア号はけっして巨大さを誇る船ではないし、豪華さを誇る船でもありません。客数は2000人程度。 船内のインテリアと雰囲気はホテルでいえば三つ星と四つ星の中間くらいでしょうか。イベントもそれほど華やかなものはなく、どちらかと言えば地味。しかし、それがいいのです。  私たちにとって、いつもの外国旅行とちょうど釣り合った内容でしたから、すべてにおいて違和感を持つことなく快適に過ごすことができました。レベル違いの超高級な雰囲気もいいかもしれませんが、緊張感を持つことなく過ごせる自分に合った船を選ぶことも大切なのだと思います。  周囲から聞こえてくる声は、圧倒的にイタリア語とドイツ語が多く、英語の客はほとんどいませんでした。年金生活のヨーロッパ人が気軽に使うクルーズのようです。それが落ち着きと気軽さを醸し出していたのだと思います。もちろん高齢者ばかりでなく、新婚さんや小さな子ども連れのファミリーもいて、とても和やかな雰囲気でした。

2 寄港地の過ごし方、勝手気ままが一番

乗船時に行われたエクスカーション説明会に参加した私たちは、割引券が1人だけ当たる抽選会でラッキーにも当選。前もって予定していたエクスカーションに半額で参加しましたが、その1カ所以外は寄港した町をブラブラと散策しました。どの町もこぢんまりとしているので、徒歩で隅から隅まで見学できます。観光案内所でもらえる簡略な地図一枚あれば十分。特別に興味ある場所が市街地から離れている場合はエクスカーションに参加するとよいと思いますが、気ままに寄港地を散策するだけでも十分に楽しめることがよく分かりました。

(1)アンコーナ(イタリア)

歴史ある大きな港のようですが、日本で発売されているガイドブックにはほとんど記載されていません。まったく見当もつかないまま港の観光案内所に行くと、市内地図を渡され「モデルコース」を鉛筆で書いてくれました。素直にその通り移動してみたのですが、ここはとても魅力的な町でした。丘の上の大聖堂、そこからの素晴らしい眺め。ミュージアムで見たローマ時代の等身大金メッキブロンズの迫力。観光客が群がる噴水。賑やかな繁華街と、アンティーク市の散策。いくら時間があっても足りないほどでした。

(2)コトル(モンテネグロ)

こんなに美しい場所とは知りませんでした。フィヨルドのような複雑な海岸線の中に表れる小さな港湾都市コトル。見晴らしのよい丘にのぼり下山する途中、雨が降り出しました。いくらすばらしい町でも雨の中の観光は決して快適ではありません。船に戻り、早めの昼食をゆったりと楽しみました。そのうちに空が明るくなってきました。もちろん、再び町に出ます。そして、気持ちの良い青空の下、古い町並みを思う存分楽しみました。雨が降れば船で優雅に過ごし、晴れたら外に出る、こんな気ままな観光ができるのも船だからこそ。

(3)コルフ(ギリシャ)

旧市街が港から離れているというのでシャトルバスを利用しました。降りてすぐのところにあった城塞を見学したところまではよかったのですが、どうも探し方が悪かったようで観光案内所で市内地図をもらうことができず、行き当たりばったりの散策になってしまいました。しかし、機関車型のバスに乗って郊外まで出たり、妻得意のギリシャクッキーのオリジナルを探して試食したり、偶然小さな広場で満開のジャカランダを見付けたり、 初めてのギリシャを楽しむことができました。ただし、この日一番の感動は、輝くエーゲ海のクルーズでした。真っ青な空の下、紺碧の海に白く泡立つ航跡が引かれていきます。まさに夢の世界。これぞクルーズ。

(4)サントリーニ(ギリシャ)

テンダーボート乗船カード配布についての案内を見落としていたため、かなり遅い上陸になってしまいました。しかし、格安の路線バスを使って移動したイアも、港に近いフィラも共に散策を楽しむことができました。真っ白に輝く家々が作り出す独特の町並みは、グループで歩くには向いていません。あっちで試食、こっちでアイスクリーム、気が向いたらちょっと一杯。それこそがサントリーニの楽しみ方。

(5)アルゴストリ(ギリシャ)

今回のクルーズで唯一、エクスカーションを利用しました。寄港時間の4時間15分を目いっぱい使うバスツァーは、多彩な内容でケファロニア島の魅力を教えてくれました。聖アンドリュー修道院、ロボラワイナリーの見学と試飲、小さな港町サミでの休憩、メリッサーニ洞窟(湖)でのボート、美しい海岸を見下ろすビューポイント。そして、車窓から見る美しい自然と魅力的な町々。すばらしい島でした。

(6)ドブロブニク(クロアチア)

前半はあいにくの曇天。たまたま目についたレストランにクロアチアワインでも飲もうかと入ったとたん、猛烈な雨。雨が止むまでのんびりワインを楽しみました。その後、修復されたモダンなケーブルカーで丘に登り、美しい眺めを楽しんでいると、あっと言う間に青空が広がりました。まるでマジック。前半の憂鬱な町並みが、一気に光り輝く陽気な町に変身していきました。残された時間ひたすら歩き回り、今は陽気な、しかし悲惨な過去を持つ町を心に焼き付けました。

3 次回への期待

次回は、これまた定番中の定番、マイアミ発のカリブ海クルーズを予定しています。どうしても観光中心となりがちなヨーロッパクルーズとは違い、カリブ海ではのんびり過ごすこと自体を目的とするクルーズにしたいと思います。それまでに、いくらかでも人目に晒してもはずかしくない体に引き締めておかないと…。


「埼玉トムくん」記 2013.07.12