【沖縄の世界遺産】琉球王朝の歴史をたどる
~琉球王国のグスク及び関連遺産群~
沖縄にある数々の遺跡の中から5つのグスク(城)と4つの関連遺物の計9つの史跡が2000年12月「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されました。 耳にしたことのある場所、そうでないところ、人によって様々かと思いますが、今回一挙にご紹介します。
1.「琉球王国」の歴史
琉球王国、琉球國(りゅうきゅうこく)は、1429年(宣徳4年・正長2年、永享元年)から1879年(光緒4年・明治12年)の450年間、琉球諸島を中心に存在した王国のことです。明治維新により誕生した明治政府は1872年に琉球王国を琉球藩にした後、1879年「沖縄県」を設置し、琉球王国は終焉を迎えました。
2.世界遺産となった5つのグスク【首里城、中城城跡、座喜味城跡、勝連城跡、今帰仁城跡】
・首里城跡
1429年に北山(ほくざん)・中山(ちゅうざん)・南山(なんざん)と呼ばれていた3つの小さな国が統一されて琉球王国となりました。県内最大の木造建築物である首里城は、王国の栄華を象徴する城として知られ、国王とその家族が居住する「王宮」、王国統治の行政機関である「首里王府」、そして祭祀の場所でもありました。
2019年3月に、太平洋戦争で焼失した正殿や破壊された城郭などを含むすべての復元整備工事が完了しましたが、その年の火災により正殿や北殿など8つの建物が焼失し、現在、再建に向けて工事が進められています。遺産登録は、首里城跡で復元された正殿などの建築物や石積は含まれません。那覇空港から車で30分ほどの本島南部 那覇市にあります。
・中城城跡(なかぐすくじょうあと)
中城城は南に中城湾、西に東シナ海を望む場所にあり、日本100名城にも登録されています。
勝連城主の阿麻和利(あまわり)をけん制するために、座喜味城主の護佐丸(ごさまる)が、15世紀の前半頃に国王の命令でつくった城です。
自然の地形を巧みに取り入れ、曲線を描く城壁が美しく、野面積み、布積み、あいかた積みと3種類の石積み手法を見ることができます。
那覇空港から車で約50分の本島中部 北中城村にあります。
・座喜味城跡(ざきみじょうあと)
座喜味城は、琉球王国ができる頃に活躍した護佐丸(ごさまる)が、北山(ほくざん)を監視するために15世紀前半に作った城として知られています。
城壁からは残波岬や恩納村の海岸を望むことができます。切り出した石で組んだアーチ型の石門は、沖縄本島に現存する最古の石門と考えられています。
高台の城跡から見る景色は絶景で、冬の時期はライトアップされて、昼間と違う雰囲気を味わうことができます。
那覇空港から車で約100分の本島中部 読谷村にあります。
・勝連城跡(かつれんじょうあと)
勝連城は岩山に築かれた12-13世紀につくられた城で、沖縄の城の中で最も古く沖縄島中部の東海岸一帯を一望できる場所にあります。現在の規模になったのは14世紀ごろのようです。城壁は、自然の地形を利用して、石灰岩の石垣をめぐらせています。
那覇空港から車で高速道路を利用して約60分の本島中部 うるま市にあります。
・今帰仁城跡(なきじんじょうあと)
沖縄本島の北部を治めていた北山(ほくざん)国王の居城で、県内最大規模を誇ります。石垣は「野面積み」と言われ、最も古い造り方であるとされています。
琉球王朝発祥の地と言われる伊是名島と伊平屋島の島影が正面に見え、約1,500メートルにもおよぶ城壁は、自然の地形にあわせた美しい曲線で造られています。
那覇空港から車で高速道路を利用して約100分の本島北部 今帰仁村にあります。
3.関連遺産の4つの遺物【園比屋武御嶽石門、玉陵、識名園、斎場御嶽】
・園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)
1519年に築かれた琉球固有の宗教建築物で、王家の拝所として使用されました。扉を除いた全てが石づくりの門となっており、後ろにある森は、聖なる地とされています。国王が城外に出る時に道中の安全を祈願したり、聖地を巡礼する行事や最高神女(のろ)・聞得大君(きこえおおきみ)の即位式で最初に参拝した場所といわれています。
那覇空港から車で約30分の本島南部 那覇市にあります。
・玉陵(たまうどぅん)
琉球王国の王族の墓で、1501年頃に造られたとされています。
墓室は自然の岩盤を利用した独特のデザインで、洗骨前の遺骸を安置した中室、洗骨後の王と王妃を納骨した東室、その他の王族を納骨した西室の3つに区分されています。魔物の侵入を防ぐために門をずらしたり、墓庭には清めとして枝サンゴの破片を敷き詰めています。
2018年、建造物として国宝に指定されました。
那覇空港から車で約30分の本島南部 那覇市にあります。
・識名園(しきなえん)
1799年に王族の別邸として造られました。保養地として使われただけでなく、中国皇帝の使者である冊封使をもてなす場所としても使われました。
中国と日本の庭園様式を取り入れ、さらに沖縄独自の様式も加えた廻遊式庭園です。識名園全体の広さは約1万3千坪で、うち建物の面積は約195坪と広大な敷地になっています。現在、沖縄県内で唯一の特別名勝でもあります。
那覇空港から車で約30分の本島南部 那覇市にあります。
・斎場御嶽(せーふぁうたき)
御嶽とは「神を祀った聖地」のことで、その名前の通り、沖縄随一の聖地として知られています。琉球国の宗教的儀礼や自然信仰の場所とされています。御嶽の中心となる「イベ」と呼ばれる場所には、神社のように建物はなく、石や木などの自然物しかありません。
国王も訪れたほか、王妃などが国の神事をおこなう聞得大君(きこえおおきみ)の職につくときに儀式をこの場所で行ったとされています。御嶽の祭祀を行うのは女性で、男子禁制の聖域でした。
現在、国の史跡、沖縄県指定名勝にも指定されています。
那覇空港から車で約40分の本島南部 南城市にあります。
4.まとめ
沖縄の世界遺産は、いかがでしたでしょうか。
沖縄を訪れる機会がありましたら、旅行の目的の一つに加えて、歴史や文化が織りなす数々の名所へ足を運んでみてください。
その際は歩きやすい靴で出かけることをおすすめします。
※各名所の営業につきましては、余儀なく時間変更や休業となる場合がございます。ホームページなどで確認の上、お出かけください。
※本書の内容は、本書執筆時点(2022年02月10日)の内容に基づいています。