渡航書類の「デジタル化」

新型コロナウイルス感染症拡大により、健康上の問題、及び検査が空の旅に大きく関係するようになりました。PCR陰性証明書の提示、そして検査条件が各国の入国制限と合致しているかを1人1人確認することはかなりの手間と時間を要しているのが現状です。そこで導入が期待されているのが「渡航書類のデジタル化」。

今回は、徐々に進み始めている「デジタル渡航証明書」の一部について、利用意義や特徴をご紹介します。ワクチン接種後(アフターコロナ)の渡航を検討いただく際の参考にしていただけますと幸いです。

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目次
  1. 加速する渡航書類の「デジタル化」
  2. 国際航空運送協会が進める「IATAトラベルパス」とは?
  3. まとめ

1. 加速する渡航書類の「デジタル化」

新型コロナウイルス感染症の世界的拡大を受け、各国・各地域がデジタル技術によって如何にスムーズな渡航を促すか試行錯誤しています。ここではその中の一部をご紹介します。

中国 健康コード
中国では新型コロナウイルスの発生当初から当分の間は、フライト搭乗前に紙媒体の陰性証明書を提示し、条件を満たしていることを確認した方に限り搭乗が許可されていましたが、2020年末より健康コードを導入し、紙媒体の陰性証明書の提示ではなく、オンライン上であらかじめ入国許可申請をすることを全ての搭乗者に義務付けました。こちらの健康コードはワクチン接種済みの方に対しても申請が必須で、申請後に緑色のQRコードが表示されない場合は搭乗が許可されません。

※IACEトラベルでは中国入国に関してウェビナーを開催し、入国までの流れをまとめております。一連の手続きが気になる方はこちらのURLから映像にてご確認ください。(映像は2021年7月16日時点の情報に基づいて作成しています)
https://www.youtube.com/watch?v=gs6asBILypI

EU デジタル証明書
欧州委員会は7月1日より「EUデジタルCOVID証明書」(COVID証明書)のEU全域での本格運用を開始すると発表しました。この証明書を利用することで、EUで承認済の新型コロナウイルスのワクチンの接種歴(いつ、どこで接種したのか)や、PCR検査で陰性であったこと、及びコロナ感染からの回復歴を証明することができます。またEU市民や居住者は、このCOVID証明書を利用することによって移動時の検査や自主隔離などが免除されるため、運用が開始されたことで域内の円滑な移動が可能となりました。

アフリカ諸国 デジタル証明書
エチオピア保健省は6月2日、PCR検査の偽造した陰性証明書の提示が増加していることを受け、全ての旅行者に対し、デジタル陰性証明の提出を求めることを決めました。こちらの証明書の提示は2021年7月1日より義務化されています。エチオピアに入国、及びトランジットする際もアフリカ連合とアフリカ疾病管理センター、PanaBiosが共同で構築したTrusted Travelシステムでアカウントを作成し、個人情報や陰性証明書の画像をアップロードした後に発行されるデジタルコードの提示が必須となっています。同じアフリカ大陸の国であるケニアでも提示が必須のため、ご渡航の際は注意が必要です。

※こちらの措置に関しましては、2021年6月10日に当社HP上にて登録用URL等を公表しています。詳細はこちらからご確認ください。
https://www.iace.co.jp/bts/info_list/210610_rwanda_01.html

日本 ワクチン接種証明書
最後に気になる日本のデジタル証明書をご紹介します。厚生労働省は国際的な人の往来に向け、予防接種を受けた本人に対して接種事実を証明する接種済証では、英語の表記、記載事項の不足、偽造防止対策といった課題が考えられるとして、接種済証とは別にワクチン接種証明書を発行する方針を決定しました。発行は個人の接種記録を管理する市区町村が行います。接種証明書には、新型コロナウイルスワクチンの接種記録(ワクチンの種類、接種年月日など)と接種者に関する事項(氏名、生年月日、旅券番号など)が記載されます。2021年6月25日に発行主体となる自治体向けの第1回説明会が開かれ、上記ご紹介した国・地域より遅れをとっていますが、7月下旬より、まずは紙媒体にて発行申込みが開始されます。

さらに詳細が気になる方はこちらのコラムご一読くださいませ。
https://www.iace.co.jp/bts/column/detail/20210719_01.html

2. 国際航空運送協会が進める「IATAトラベルパス」とは?

続いてご紹介したいのがIATAトラベルパス」です。国際航空運送協会(IATA)は新型コロナウイルスによって渡航手続きの煩わしさが顕在化する以前から、さらなる渡航手続きの簡素化に向けて検討を進めていたようです。

IATAトラベルパスを利用することで、スマートフォンなどのデバイス上で医療機関からの新型コロナウイルス検査結果の参照・管理ができることに加え、渡航先の入国検疫要件の確認や、搭乗手続きなどの際に渡航資格を提示することができます。搭乗手続き時に渡航/入国条件を満たしているかを確認されるのではなく、出発に合わせてアプリが検査結果を確認し、渡航可能であればアプリ画面に「OK to Travel」が表示されるので、煩雑化した搭乗手続きをよりスムーズに行うことができます。

IATAトラベルパスは多数の航空会社が導入を検討しており、日系航空会社のANA(全日空)、JAL(日本航空)をはじめ、シンガポール航空、大韓航空、カンタス航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、エミレーツ航空など、32社が実証実験に参画しており、アプリ上でチェックインも可能なことから、ゆくゆくは「デジタルパスポート」として機能するのではないかと期待が寄せられています。

※IATAが公開している利用方法動画はこちらからご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=iTeAMXfyEX4
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3. まとめ

今回はウィズコロナ、アフターコロナの渡航における常識になることが予測される「デジタル化」した渡航書類についてご紹介しました。 10年に1度は発生する可能性がある感染症。全世界に感染が拡大した新型コロナウイルスにより、渡航制限情報を入手することやそれを満たすための手続きを行う煩わしさは多くの人が体感したことでしょう。この煩わしさが上記でご紹介した「デジタル化」の技術によってなくなる日も遠くないかもしれません。

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※本書の内容は、本書執筆時点(2022年11月1日)の内容に基づいています。

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