マイレージを無駄なく活かす方法
貯め方・使い道・失効対策の基本ガイド
マイレージは、飛行機に乗るたびに自然と貯まっていく“もうひとつの資産”です。
ビジネスや旅行の移動中に蓄積されるこのポイントは、うまく活用すれば航空券やアップグレードだけでなく、電子マネーや生活用品との交換にも役立ちます。
一方で、貯めたことすら忘れて失効してしまったり、「何に使えばいいかわからない」と感じている方も少なくありません。
このコラムでは、マイレージの仕組みをあらためて整理し、飛行機に乗らなくてもマイルを貯める方法や、失効を防ぐ管理のコツ、マイルとポイントの違いなど、日々の生活にも役立つ実用的な知識をまとめました。
出張の機会がある方もそうでない方も、マイルを“貯めて終わり”にしないための活用術として、ぜひお役立てください。

マイレージの基本を理解する

マイレージプログラムとは何か
飛行機の利用に応じて「マイル」と呼ばれるポイントが貯まる仕組み、それがマイレージプログラムです。
これは航空会社が提供する会員制のサービスで、フライトのたびに飛行距離や運賃クラスに応じてマイルが加算され、一定数を貯めることで特典航空券やアップグレード、各種サービスとの交換が可能になります。
たとえば、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)をはじめ、多くの航空会社が独自のマイレージ制度を持っています。登録は無料のケースがほとんどで、1度の登録で長く使えるのが特長です。さらに、同一航空会社のフライト以外でも、ある条件を満たせばマイルが加算される仕組みも存在します。これを理解するには、次項の「アライアンス(航空連合)」の知識が欠かせません。
航空会社とアライアンスの関係
マイレージプログラムをより柔軟に活用できるよう、航空会社同士がグループを組んでいる場合があります。それが「アライアンス(航空連合)」です。
代表的なアライアンスは次の3つです:
・スターアライアンス(ANAが加盟)
・ワンワールド(JALが加盟)
・スカイチーム(デルタ航空などが所属)
これらのアライアンスでは、同じグループ内の他社便に搭乗した場合でも、マイルが加算されるのが大きなメリットです。たとえばANAの会員であれば、スターアライアンスに加盟するユナイテッド航空やシンガポール航空を利用してもマイルを貯めることができます。
つまり、あらかじめどのアライアンスの航空会社を多く使いそうかを見極めて会員登録することで、より効率的にマイルを貯められるようになります。
予約クラスとマイル加算の仕組み
「同じエコノミークラスなのに、運賃がずいぶん違う」と感じたことはありませんか?
その理由のひとつが「予約クラス」の違いです。これは、航空券の種類や条件に応じて設定される運賃区分であり、マイルの加算率にも大きく影響します。
たとえば、ある国際線区間で「Yクラス(普通運賃)」なら100%のマイルが加算される一方、「Vクラス(割引運賃)」では50%、あるいは一部加算なしというケースもあります。さらに、同じ航空会社でも路線や時期により加算ルールが異なることもあるため、チケットを手配する際には「予約クラス」と「積算率」を確認しておくと安心です。
加算マイルの計算式は基本的に:
区間マイル × 加算率(%) = 実際に加算されるマイル数
出張や旅行を繰り返すうちに、こうした加算ルールを理解しておくことで「同じ移動距離でもより多くマイルを獲得する」ことが可能になります。
飛行機に乗らずにマイルを貯める

クレジットカード・電子マネー・提携サービスの活用
マイルは飛行機に乗らなければ貯まらない――そう思われがちですが、実際には日常生活の中でも十分に積み上げることが可能です。その中心となるのが、マイレージプログラムと連携したクレジットカードの活用です。
たとえばJALカードやANAカードを使って、買い物・公共料金・通信費などの支払いをまとめれば、その金額に応じて自動的にマイルが加算されます。特に、交通系ICカード(Suica、PASMOなど)との一体型カードでは、チャージや定期券購入でもマイルが貯まる仕組みになっており、通勤や出張時の支払いもムダになりません。
また、JALやANAが提携する店舗(コンビニ、飲食店、ドラッグストアなど)では、通常より多くのマイルが付与される特典もあります。頻繁に利用するブランドやサービスに合わせてカードを選ぶことで、より効率的に貯めることができます。
ポイントサイト(ポイ活)での効率的なマイル獲得
クレジットカードに加え、「ポイ活」と呼ばれるポイントサイト経由の活動でもマイルを獲得できます。これは、広告の閲覧・アンケート回答・ネットショッピング・金融口座の開設などを行うことでサイト内ポイントが貯まり、それをマイルへと交換するという仕組みです。
一般的な交換レートは「2ポイント=1マイル」程度ですが、高額案件(クレジットカード発行、証券口座の開設など)では一度に数千ポイントを獲得できることもあります。
実際に、日常的に飛行機に乗らない「陸マイラー」の多くは、このポイ活を軸に年間数万マイル以上を貯めています。出張などで定期的な搭乗機会がない方でも、マイルを有効に獲得できる方法として広く浸透しています。
このように、マイルは“乗らない日常”の中でも積み上げることが可能です。次の項目では貯めたマイルの使い道を「航空券以外」にも広げる方法をご紹介します。
マイルの使い道を広げる

特典航空券・座席アップグレード
マイルの代表的な使い道といえば、やはり特典航空券の取得です。国内線であれば、片道6,000マイル前後から交換でき、国際線では渡航先や時期によって必要マイル数が変動します。
また、対象運賃で購入した航空券に対し、マイルを使って座席クラスをアップグレードすることも可能です。エコノミーからビジネスクラス、ビジネスクラスからファーストクラスへといった変化は、長距離出張の疲労軽減や、限られた時間での快適な移動に寄与します。
ただし、マイルによる特典航空券は空席数に限りがあり、ピークシーズンには希望通りに取得できないこともあります。そのため、計画的な利用や早めの予約が重要です。
電子マネーや共通ポイントへの交換
特典航空券を利用する予定がない場合でも、マイルを無駄にする必要はありません。JALやANAでは、貯まったマイルを電子マネー(WAONや楽天Edyなど)や、共通ポイント(Pontaポイント、dポイント、楽天ポイント等)に交換することができます。
たとえばJALマイルは、PontaポイントやWAONに、ANAマイルは楽天ポイントやnanacoなどに変換可能で、これによりスーパーマーケットやコンビニでの買い物にも活用できるようになります。交換レートは概ね1マイル=1円相当(またはそれ未満)となりますが、使いきれないマイルの有効消化手段として便利です。
体験・ギフト・地域特産品との交換
航空会社によっては、マイルを物品や体験型の特典に交換できるサービスも用意されています。たとえばJALの「ふるさとからの贈りもの」では、全国の名産品や工芸品をマイルと引き換えに自宅で楽しむことができ、旅行気分を味わうこともできます。
他にも、航空会社ラウンジで提供される“あの味”を再現したオリジナルカレーやアロマ、あるいは航空整備工場の見学や農園レストランでの体験など、出張や旅行とは一味違う“地上で楽しむマイルの使い道”も増えています。
ここでは、マイルの活用範囲が必ずしも「空の旅」に限られないことをご紹介しました。次の項目では、こうしたマイルを失効させずに使い切るための管理術について解説します。
マイルを失効させないために

有効期限と各社の基本ルール
マイルには有効期限があります。たとえば、ANA・JALでは獲得月から36か月後の月末までが有効期間です。つまり、どれだけ大量のマイルを持っていても、一定期間内に使わなければ自動的に失効してしまうということです。
航空会社によっては「加算日から○年間固定」のケースもあれば、最後にマイルが加算または使用された日から○年間有効といった“活動ベースの有効期限”を採用している場合もあります。外資系マイレージプログラムでは後者が多く、一定のアクションを続ければ半永久的にマイルが失効しない制度も存在します。
まずはご自身が利用している航空会社の有効期限ルールを確認することが、マイルの有効活用の第一歩です。
延長措置や再加算の条件
一部の航空会社では、事前登録や申請を行うことで、マイルの有効期限を一時的に延長できる特例措置が設けられていた時期もあります(例:コロナ禍での救済対応など)。
ただし、こうした延長措置は現在は終了しているケースが多く、基本的には「期限内に使い切る」か「再加算などで動きをつける」ことが失効対策の基本になります。
また、マイルが一度失効してしまっても、航空会社によっては条件を満たせば“再加算”される制度を設けている場合もあります。これは例えば、事後登録・遅延加算・一時的なキャンペーンなどが該当します。
使い忘れを防ぐ管理の工夫
マイルを失効させてしまう原因の多くは「うっかり忘れていた」「気づいたら期限を過ぎていた」といった見落としによるものです。そのため、次のような管理術が有効です:
・スマートフォンのカレンダーに“マイル期限リマインダー”を登録する
・利用しているマイレージアプリで定期的に残高と期限をチェックする
・電子マネーやポイントなど、すぐに交換できる出口を確保しておく
また、「まだ足りないから」と保留していたマイルが、有効期限間近で“使い道が限定されてしまう”こともあります。中途半端な残高であっても、早めに使い切る方向で判断するのが合理的です。
そもそもマイルとポイントのどちらを貯めるべきか、日常使いや出張シーンを想定しながら比較検討していきます。
自分に合った貯め方を選ぶ

マイルの価値と使いどころ
マイルの魅力は、使い方次第でその価値が大きく変動する点にあります。
たとえば、国内線の特典航空券では1マイルあたり1~2円相当の価値になることが多いですが、国際線のビジネスクラスやファーストクラスに交換する場合、1マイル=5円以上の価値を発揮するケースもあります。
つまり、うまく使えば現金で航空券を購入するよりもお得になる可能性があるのがマイルの特長です。ただし、その分利用条件や枠数に制限があるため、「価値を最大化したい方」にとっては計画的な活用が求められます。
汎用ポイントの利便性と即時性
一方、Vポイント、楽天ポイント、dポイントなどの共通ポイントは、「どこでも、すぐに使える」利便性が最大の強みです。スーパー、コンビニ、ネット通販など、生活に密着した場所での利用ができるため、交換のハードルが低く、無駄になりにくいのが特徴です。
また、マイルと違って座席の空席状況に左右されることもなく、少額でも使えるため、計画不要で使いやすいというメリットもあります。
ただし、基本的に「1ポイント=1円」と還元率が固定されているため、「高い価値を狙う使い方」は期待できません。
ライフスタイル別の選び方
最終的に、マイルとポイントのどちらを選ぶべきかは、「何に使いたいか」「どう使うか」で変わってきます。
〇飛行機を年に何回か利用する方、海外出張がある方:
→ 航空会社のマイルを中心に貯めておくと、特典航空券やアップグレードに役立ちます。
〇飛行機に乗る機会は少ないが、支出が多い方、日常で使いやすさを重視したい方:
→ 汎用ポイントや電子マネーへの交換も視野に入れて、無理なく・確実に使えるポイントを選ぶのが賢明です。
〇クレジットカードやネットサービスの利用が多い方:
→ 陸マイラー的なポイ活や、提携ポイントを通じてマイルを効率よく貯める手段が適しています。
マイルとポイント、どちらにも一長一短があります。
重要なのは、「自分にとって失効しにくく、使いやすい貯め方・使い方を選ぶ」こと。
無理にマイルを貯めようとせず、生活や出張のスタイルに合った選択が、長く活用し続けるための第一歩です。
まとめ

マイルを“貯める・使う”をムダなく進めるために
マイレージプログラムは、ただ「貯めて満足する」ためのものではありません。
使い道や期限、加算ルールを正しく理解し、自分の生活スタイルや移動手段に合わせて賢く管理すれば、出張でも日常でも“無駄にならない資産”として活かすことができます。
飛行機に頻繁に乗る方はもちろん、そうでない方も、クレジットカードや提携サービスを通じてマイルを積み上げることができます。
さらに、航空券以外にも電子マネーや商品、体験との交換など、使い道の選択肢は確実に広がっています。
重要なのは、「どうやって貯めるか」「何に使うか」を見極め、自分に合った方法で継続すること。
マイルを“失効させずに使い切る”という意識があれば、日々の行動もより前向きなものになるはずです。
このコラムを通じて、マイルに対する理解が少しでも深まり、日々の選択に役立つ情報となれば幸いです。
- 初期費用と使用料が「無料」
- 出張者が個々に予約、費用は後払い一括請求
- 手配先の統一と出張データ(費用)の管理
- 24時間365日出張者をサポート
- チャット機能でメッセージの送受信