2026年の海外出張における安全配慮と実務の経営判断指針
海外出張のルールが、長年放置されてはいませんか? 現在、現地の安全や入国ルール、物価情勢は劇的に変化しています。 特に2026年は制度変更が重なり、古い運用のままでは深刻なリスクを招きかねません。 手続き不備による搭乗拒否や経費の持ち出しなど、現場はすでに限界です。 「今の体制で社員を守れるか」という不安を解消するには、ルールの刷新が急務となります。 本記事では、2026年の海外出張で押さえるべき実務上の注意点を整理しました。 社員が安心して挑戦できる環境を整えるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
目次
安全配慮義務と2026年の世界情勢
2025年から2026年にかけて、世界各地で紛争や政変が相次ぎ、海外出張の「安全」の定義が劇的に変化しました。
企業には、形式的な承認ではなく、現地のリアルタイムな情勢に基づいた高度な安全配慮義務が求められています。
2025年にはロシア・ウクライナ情勢の長期化に加え、タイ・ミャンマー国境での武力衝突や中東情勢の緊迫化など、地政学リスクがより身近なものとなりました。
有事の際に民間機が欠航する事態を想定し、救援費用の会社負担や、民間危機管理会社を通じたチャーター機手配の規定化が急務です。
現場の判断に委ねるのではなく、外務省の危険レベルに応じた「即時避難」や「渡航禁止」の基準を、経営判断として明確に定めておかなくてはいけません。
これは単なる福利厚生ではなく、予見可能なリスクから従業員を守るという法的責任(安全配慮義務)を果たすための根幹となります。
電子承認が必須となる主要国の入国ルール
2026年、海外入国は事前の「電子承認」が必須の時代へ移行しました。 手続き漏れは搭乗拒否に直結するため、渡航先ごとの最新要件の把握が不可欠です。
欧州:ETIAS導入による事前申請の義務化
2026年後半より、欧州シェンゲン協定域への入国には電子渡航認証「ETIAS」が必要です。
ビザ免除国からの渡航者も、オンライン登録がなければ航空機へ搭乗できません。
申請費用は7ユーロで、一度承認されれば最長3年間有効となります。 ただし、パスポート更新時には再申請が必要となるため注意してください。
これまで自由に往来できていた地域だけに、社内周知が不足すると搭乗拒否のリスクが高まります。
2026年末以降の欧州出張は、余裕を持って申請できる体制を整えるべきです。
システム開始直後は承認の遅れも予想されるため、早めの手続きを規定に明記してください。 事前の準備不足は、ビジネスチャンスを逃す大きな要因となり得ます。
ETIAS | 「European Travel Information and Authorisation System (ETIAS)」
タイ:TDAC登録と電子承認の流れ
タイでは紙の入国カードが廃止され、電子カード「TDAC」の登録が全入国者に義務付けられました。
渡航者は到着の72時間前から当日までに、専用ポータルで登録を完了させる必要があります。
2026年は電子渡航承認(ETA)の運用も本格化しており、事前の手続きなしでは入国が困難です。
登録不備は入国拒否を招く恐れがあるため、承認確認を出張フローに組み込むべきです。
申請ポータルはメンテナンスで停止することもあるため、直前の登録は避けるのが賢明です。 また、登録内容の誤りは現地での修正に時間を要するため、厳密な確認が求められます。
Official Thailand Digital Arrival Card (TDAC) | 「IMPORTANT NOTICE」
英国:全渡航者を対象としたETAの完全運用
英国への入国および乗り継ぎには、日本国籍者も電子渡航認証「ETA」の取得が必須です。
2026年にはこの制度が完全定着しており、未取得者は出発空港で搭乗を拒否されます。
申請料は10ポンドで2年間有効ですが、パスポート新規取得時は再申請が求められます。
航空会社側での確認作業も義務化されており、当日の申請では間に合わないリスクがあります。
英国のETAは、入国せず乗り継ぎ(トランジット)のみの場合も例外なく必要となります。
ロンドンを経由する旅程を組む際は、必ずこの承認の有無をチェックリストに含めてください。
欧州のETIASとは別制度のため、英国経由で欧州へ向かう場合は両方の認証が必要です。 数日前には公式アプリ等で申請を終えることが、現在の実務上のスタンダードとなります。
GOV.UK | 「Get an electronic travel authorisation (ETA) to visit the UK」
中国・韓国・ブラジル:ビザ免除の期限
日本人向けの中国ビザ免除措置は、現在の運用では2026年12月31日が期限となります。
期間内は30日以内の滞在がビザなしで可能ですが、超過する場合は査証取得が必要です。
韓国の「K-ETA」一時免除措置についても、2026年12月31日まで継続される見通し。
免除期間中は取得なしで入国可能ですが、制度変更に備え2026年末の再確認が不可欠です。
ブラジルは免除措置が更新されなければ、2026年9月30日からビザが再度必要になります。
2026年秋以降のブラジル出張を計画する場合、ビザ復活の可能性を考慮してください。
これらはあくまで時限措置であるため、総務部門は常に最新の期限情報をリスト化しておくべきです。 無防備な渡航は入国手続きでの混乱を招き、業務スケジュールの遅延に直結します。
在中国日本国大使館 | 「中国入国のためのビザ免除措置延長」
Embassy of Japan in Korea | 「韓国政府による電子旅行許可制(K-ETA)の一時免除措置の期間延長について」
JETRO | 「日本・ブラジル両国間で短期滞在ビザ相互免除に合意」
インフレ時代の海外出張と実費精算
2025年からの円安や物価高騰により、従来の固定額による出張手当は実務に即さないものとなっています。
2026年の法改正を見据え、コスト管理と社員の負担軽減を両立させる規定へのアップデートが必要です。
宿泊上限の地域別・連動制への改定
歴史的なインフレの影響により、欧米主要都市では従来の宿泊上限額では安全なホテルの確保すら困難です。
国家公務員の旅費法改正(2025年4月施行)に倣い、民間でも「実費精算」への移行が加速しています。
現地の宿泊相場に合わせ、地域ごとに上限額を柔軟に変動させる、あるいは実勢価格に基づいた承認制が現実的です。
これにより、社員による持ち出しを防ぐとともに、不透明な上乗せ請求を排除し、透明性の高い管理を実現できます。
一部の企業では、北米、欧州、アジアといった地域別に基準額を設け、定期的に為替の影響を反映させています。
柔軟な基準設定を盛り込むことは、出張者の不満を解消し、優秀な人材の流出を防ぐ観点からも不可欠な投資となります。
財務省 | 「国家公務員等の旅費制度の改正について」
2026年施行の取引適正化法への準拠
2026年1月から全面的に施行される「取引適正化法」により、出張手配業者との取引ルールが厳格化されます。
これまでの慣習的な支払サイトや契約書面のない発注は見直しの対象となり、法令遵守に基づいた透明な取引が求められます。
2026年10月からはインボイス制度の経過措置が縮小され、未登録業者からの仕入れ控除率が50%に引き下げられます。
国内空港までの移動や宿泊について、インボイス対応事業者を選択するよう規定で明文化することが、無用な税負担を避ける鍵です。
また、紙の約束手形の全面禁止に向けた動きも、取引適正化法における重要な変更点の一つです。
出張関連業者への支払いを手形で行っていた場合、現金払いや振込への切り替えが必要になり、経理処理にも大きな影響を及ぼします。
中小企業庁 | 「取引適正化、価格交渉・価格転嫁、官公需対策」
法人カード利用によるリスク低減
海外での現金両替は手数料が高く、また紛失や盗難時のリスクも大きいため、原則として法人カードの利用を義務付けるべきです。
多通貨決済に対応したカードを導入することで、為替手数料を抑えつつ、利用明細の自動連携による精算業務の効率化が図れます。
カード利用を徹底させることは、私的利用の防止や不正精算の抑制といった内部統制の強化にも直結します。
2026年のデジタル化が進んだ国際社会において、キャッシュレス前提の旅費規定は、管理部門の負担を劇的に軽減します。
さらに、電子データ保存やカード利用履歴の自動提出は、国内での証憑統制の観点からも重要性が増しています。
精算フローそのものをデジタル化し、手入力ミスを削減することが、2026年のバックオフィス業務で大きな差となります。
法的リスクを防ぐ2026年の労働管理
2026年は、働き方改革のさらなる進展により、海外出張時における労働時間の捉え方も厳格化されています。
会社を法的リスクから守り、社員の健康を確保するため、最新の労働法制に基づいた規定の点検が求められます。
海外版「勤務間インターバル」の導入
2026年に向けた労働法改正の議論を受け、海外出張においても「勤務間インターバル」の導入が推奨されています。
激しい時差がある国への出張では、現地到着後の休息時間や、帰国直後の休養に関する具体的なルール化が必要です。
単なる「移動日」を休日扱いにするのではなく、実労働時間と休息時間を明確に区分する運用が求められます。
これにより、過重労働による健康被害を防ぐとともに、安全配慮義務を履行している証左となります。
規定には「到着後〇時間は業務を禁止する」といった具体的な数値を盛り込むことが、実効性を高めるポイント。
社員のパフォーマンス維持と法的リスク回避の両立は、2026年のグローバル経営において不可欠な要素です。
厚生労働省 | 「仕事と生活の調和」
183日ルールによる税務リスクの回避
海外への長期滞在や頻繁な出張において、最も注意すべきなのが個人所得税の「183日ルール」です。
滞在日数が年間183日を超えると、居住者とみなされ、現地での納税義務が発生し、企業側にも源泉徴収漏れのリスクが生じます。
特に米国などは過去3年の滞在実績を累積して判定する「実質的滞在テスト」を採用しており、計算が複雑。
個人の判断に任せず、会社側で渡航日数を一元管理し、閾値を超える前にアラートを出す仕組みを構築すべきです。
規定には「同一国への滞在制限」や「滞在日数の報告義務」を明記し、予期せぬ追徴課税を防ぐ必要があります。
税務当局の調査も厳格化しているため、2026年の規定改定ではこの項目の優先順位を高く設定しましょう。
国税庁 | 「No.2883 恒久的施設(PE)(令和元年分以後)」
海外特有の労災リスクと保険の義務化
海外での事故や急病は、国内とは比較にならないほど高額な医療費や搬送費が発生するリスクを孕んでいます。
日本の労災保険だけではカバーしきれない範囲を補完するため、民間海外旅行保険の付帯を規定で義務化すべきです。
2026年時点では、戦争・暴動特約や緊急歯科治療など、昨今の情勢に合わせた補償内容の選択が重要となっています。
会社が包括契約を結ぶことで、付帯漏れを防ぎ、事故発生時の初動対応をスムーズにする体制が理想的です。
また、現地での犯罪被害やトラブルに備えた「24時間日本語サポート」の活用も、安全配慮義務の一環として有効です。
万が一の事態において社員を孤独にさせない規定作りが、企業への信頼性とエンゲージメント向上に直結します。
外務省 | 「海外旅行保険加入のおすすめ」
2026年の海外出張を支える経営基盤の構築
2026年の海外出張は、数年前の常識が全く通用しない「非常時」の連続です。 各地で起きる予期せぬ衝突や、厳格になった入国ルールを甘く見てはいけません。
また、物価の高騰でこれまでの海外出張手当ではまともな宿泊すら難しくなっています。
現場の持ち出しや無理を放置せず、お金と時間のルールを透明に整えなくてはいけません。
海外出張の正しいルールへの刷新は、社員が安心して挑戦できる環境作りの第一歩となります。
「2026年の世界」で戦うための武器として、実務に即した新しい規定を直ちに機能させてください。
出張手配の負担を減らす解決策
海外出張は航空券やホテルの手配、査証の確認、通訳の確保…などなど。特に複数の候補地を回る場合は、想像以上に時間と労力がかかります。
また、現地での移動中にトラブルが起きた場合、日本語でサポートを受けられない不安もあります。
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BTM」がその例です。企業が本来注力すべき「海外進出そのもの」に集中できる環境を整えます。
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