海外展示会で名刺交換を断るには?失礼に見えない方法と注意点



海外展示会では、多くの人と名刺を交換する機会があります。 しかし、なかには「この人には名刺を渡したくない」「やり取りを続けるつもりがない」と感じる場面もあるはず。

相手の素性が不明だったり、不必要な営業や情報漏洩のリスクを避けたかったりする場合、名刺交換を断る判断は決して失礼ではありません。 大切なのは、相手の印象を損なわず、かつ自分や会社の情報を守る断り方を知っておくことです。

この記事では、海外展示会でのスマートな名刺交換の断り方、英語でのフレーズ例、そして断る際に気をつけたいポイントを紹介します。

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こんな場合は名刺交換を控えた方がいい

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海外展示会では、短時間で多くの人と出会い、名刺を交換する機会が頻繁にあります。 しかし、全ての相手に名刺を渡すことが必ずしもプラスになるとは限りません。

相手の素性や目的が不明な場合や、会社の方針や自分の業務に照らして不要な場合は、あえて名刺交換を控える判断も重要です。

ここでは、名刺交換を避けた方がいい主なケースを具体的に紹介します。

情報漏洩のリスクがあるケース

名刺には「会社名・役職・住所・電話番号・メールアドレス」など、多くの個人情報と企業情報が記載されています。 海外展示会では、不特定多数の来場者や業者が集まり、相手の素性が分からないまま名刺を求められることも珍しくありません。

こうした状況でむやみに名刺を渡すと、悪意のある第三者に情報が渡り、迷惑メールや詐欺勧誘、さらには企業機密の流出につながる恐れがあります。 また、海外の展示会では、名刺やパンフレットを大量に集め、そこに記載された事業内容やサービスのアイデアを持ち帰り、模倣できそうな事業をそのまま真似されてしまうケースも報告されています。

特に海外では、このような知的財産侵害を訴えるには多大な時間と費用がかかり、場合によっては泣き寝入りせざるを得ないこともあります。

相手や目的がはっきりしない場合や、事業内容が容易に模倣され得る業種の場合は、名刺交換を控える判断も重要です。 「名刺は信頼の証」という文化は日本特有であり、国によっては単なる連絡先リストとして扱われることもあるため、慎重な対応が求められます。

不要な営業連絡が倍増する

名刺を渡す行為は、多くの国では「今後連絡しても良い」という意思表示と受け取られます。 そのため、展示会後には営業メールや電話、SNSでのコンタクト依頼が急増し、対応に時間と労力を奪われることがあります。

海外では、強引な営業手法を取る企業も少なくなく、やんわりと断っても連絡が止まらないケースも珍しくありません。 さらに、展示会で収集された名刺情報が名簿業者に転売され、まったく関係のない業種や地域からの営業連絡が来ることもあります。

こうした二次的な情報拡散は、渡した本人がコントロールできないため、事前に防ぐしか方法がありません。

業務上必要な取引先以外には名刺を渡さない、代替手段としてLinkedInや会社公式フォームを案内するなど、情報の流れを限定する工夫が重要です。 限られた商談時間を、本当に必要な相手とのやり取りに集中させるためにも、名刺交換は選別して行うことをおすすめします。

特定の国や業種との接点が企業方針でNG

企業によっては、コンプライアンスや取引ポリシーの観点から、特定の国や業種との接点を制限している場合があります。

これは国際情勢や輸出規制、反社会的勢力排除規定などに関連するもので、違反すれば企業イメージの失墜や法的リスクにつながります。 海外展示会では、名刺交換をきっかけに「取引を検討している」と受け取られることもあるため、企業方針でNGとなっている相手に名刺を渡すのは避けるべきです。

特に、展示会場ではブース名や肩書きだけでは実際の事業内容が分からない場合も多く、業種や背景を確認せずに名刺を渡すことで、意図せぬ接点が生まれてしまう恐れがあります。

こうしたリスクを防ぐには、事前に参加国や業種に関する社内ルールを明確に確認しておくことが大切です。 不安な場合は、その場での名刺交換を避け、会社を通じて正式に対応する形を提案すると、安全かつ丁寧な印象を保てます。

必要のない名刺交換がデメリットになる

展示会では、商談につながらない相手との名刺交換が意外と多く発生します。 一見すると人脈が広がるように感じますが、実際には交換した名刺の管理やフォロー対応に追われ、本来の業務に集中できなくなることもあります。

特に海外展示会では、言語や文化の違いから「今後取引する意思がある」と誤解されやすく、結果として不必要なやり取りが長期化する可能性があります。 さらに、名刺は企業活動の足跡にもなるため、相手によっては意図しない場で社名や担当者名が流通してしまうリスクもあります。

限られた時間とリソースを有効に活用するためにも「目的に合わない名刺交換はしない」という判断基準を持っておくことが大切です。 その場の空気で交換してしまうのではなく、上記3つを基に必要な相手にだけ渡すように心がけましょう。

失礼に見えない名刺交換の断り方の3つのポイント

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名刺交換を断ることは、必ずしも相手に悪印象を与える行為ではありません。

重要なのは、断る際の伝え方と態度です。

海外展示会の場では、文化や商習慣の違いから断り方ひとつで相手の受け取り方が大きく変わります。 相手の立場や場の空気を尊重しながら、自分や会社の情報を守るためには、笑顔・簡潔な理由・代替案という3つのポイントを押さえることが効果的です。

この3つを組み合わせれば、相手に不快感を与えず、必要な距離感を保ったまま安全に対応できます。

まずは笑顔!アイコンタクトで敵意がないと伝える

断る場面でも、第一印象が柔らかければ相手の受け止め方は大きく変わります。 笑顔やアイコンタクトは「あなたに敵意はありません」というサインとして受け取られるため、言葉よりも先に安心感を与えることができます。

表情が固く無言で断ると、相手は「拒絶された」と感じやすく、その後の関係に悪影響を及ぼすこともあります。 逆に、笑顔で相手の目を見ながら会釈や軽い挨拶をすれば、たとえ名刺交換を断っても「この人は礼儀正しく対応してくれた」と好印象を残せます。

海外展示会のような多国籍な場では、言語や文化が違っても笑顔とアイコンタクトは共通のコミュニケーション手段です。 断りの一言を口にする前に、まずは表情と視線で「敵意なし」をしっかり伝えましょう。

短く明瞭に名刺交換ができない理由を伝える

名刺交換を断る際は、理由を簡潔かつ明確に伝えることが大切です。

説明が長くなると言い訳のように聞こえたり、相手が深掘りして質問してくるきっかけになったりしてしまいます。 海外展示会では、時間が限られているため、相手も引き際を理解してくれることが多いです。

また、理由は事実ベースで感情を含まないものにすると、相手が個人的に拒絶されたと感じにくくなります。 理由を淡々と伝えることで、必要以上のやり取りを避けつつ、相手との関係を穏やかに保てます。

代替案で関係をつなぐ

名刺交換を断る場合でも、完全に接点を断ってしまう必要はありません。 むしろ、代わりとなる連絡手段を提示すれば、相手は「この人は丁寧に対応してくれた」と好印象を持ちやすくなります。

例えば、LinkedInのプロフィールページを案内したり、会社の公式問い合わせフォームや代表メールアドレスを紹介したりするのが効果的です。

こうした代替案は、自分や会社の情報管理にも役立ちます。 個人のメールアドレスや電話番号を直接渡さずに済み、必要な情報だけをコントロールして共有できます。

名刺交換を控えつつも、関係を継続できる余地を残す対応が、海外展示会では特に有効です。

断るときに使える英文例

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英語でのやり取りが基本になるので、断る場面でもスムーズに伝えられるフレーズを準備しておくと安心です。 特に、初対面の相手との短いやり取りでは、複雑な言い回しよりもシンプルで誤解のない表現が効果的です。

例えば…

会社ルールを理由にする場合
○ I'm sorry, but our company policy doesn't allow me to exchange business cards at this event.
○ 申し訳ありませんが、当社の方針でこのイベントでは名刺交換をしておりません。

名刺を切らしている場合
○ Unfortunately, I've run out of my business cards, but may I connect with you on LinkedIn instead?
○ あいにく名刺を切らしてしまっていて、代わりにLinkedInでつながってもよろしいですか?

展示会後の連絡を避けたい場合
○ Thank you, but I'm currently not looking for new business partners in this field.
○ ありがとうございます。ただ、現時点ではこの分野で新しい取引先を探しておりません。


あらかじめこうしたフレーズを頭に入れておけば、急な場面でも落ち着いて対応できます。 断るときは笑顔とアイコンタクトを忘れずに、言葉と態度の両面で丁寧さを伝えることがポイントです。

海外展示会ならではの断り方における注意点

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海外展示会ならではの断り方における注意点 海外展示会では、日本とは異なる名刺文化やビジネスマナーが存在します。 国や地域によっては、名刺交換を断ること自体が非常に失礼とされ、人間関係や商談の可能性を損なうきっかけになってしまうことがあります。

特に、名刺交換が「信頼関係の第一歩」と位置づけられている文化圏では、安易な拒否は避けるべきです。

In Russia, business cards are handed to everyone you come in contact with and should include your title and education. If possible, make sure to have your information written in Russian on the reverse side.

Mount Wachusett Community College | 「The Culture of Business Cards

こうした文化背景を踏まえると「断る」という選択肢が取れない場面も想定しておかなければいけません。

どうしても名刺交換しなくてはならない場合

名刺交換したくなくても、交換せざるを得ない場面はやってきます。 そのための現実的な対策としておすすめなのが、名刺を2種類用意する方法です。

ひとつは、信頼できる相手にだけ渡す詳細情報入りの名刺。 そして、もうひとつは誰に渡しても問題ない最小限の情報のみ記載した名刺です。 後者は会社の代表電話や代表メールアドレスのみを載せ、個人の直通番号やメールは含めないことで、情報流出や不要な連絡のリスクを抑えられます。

こうしておけば「名刺を差し出さないことで気まずくなる」こともなく、同時に「自分の個人情報を守る」こともできます。 まとめると、海外展示会では「断るべき場面」だけでなく「断れない場面」も想定して準備することが重要です。

状況に応じて使い分けられる体制を整えておけば、失礼を避けつつ情報管理のリスクも最小限に抑えられます。

現地で成果をつかむための行動指針

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海外展示会では、名刺交換はビジネスチャンスの入り口である一方、情報漏洩や不要な営業、文化的な行き違いといったリスクも伴います。

相手や状況を見極め、必要に応じて断る判断を持つことは、決して失礼ではありません。 ただし、国や地域によっては断ること自体がマナー違反と受け止められる場合もあるため、柔軟な対応が求められます。

今回紹介した断り方、そして海外ならではの文化や規制への配慮を組み合わせれば、相手との信頼関係を損なわずに自分や会社の情報を守ることができます。

準備と心構えがあれば、どんな場面でも落ち着いて対応できるはずです。 安全かつ円滑な海外展示会参加のために、ぜひ今日から取り入れてみてください。

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